日本建設組合連合
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会長コラム
「奨学金の根本理念は?」

10月10日付朝日新聞の朝刊に、「奨学金滞納者 通報へ」との見出しの記事が掲載されていた。

日本学生支援機構(日本育英会、財団法人日本国際教育協会、財団法人内外学生センター、財団法人国際学友会、財団法人関西国際学友会が合併し、04年に発足)は、驚くべきことに大学生の約3割に奨学金を貸与している。それだけ奨学金へのニーズの高さを示している。奨学金貸与終了後、一定期間内に返済を行わなければならないが、その返済を滞納する者が増加しているそうだ。中には借受人の転居先が不明で、督促すら出来ないケースも多発しているらしい。延滞額や未返済額の増加に歯止めがかからない。貸し倒れの危険がある「リスク管理債権」に当たる3カ月以上の延滞債権額は07年度末で2253億円と、05年度末より389億円増えた。また07年度に返済されるべき3175億円のうち、未返済は2割を超える660億円あった。 返済分が、また新たな学生の奨学金に充てられることは承知しているはずである。

こうした状況を改善すべく、機構や文部科学省によると、悪質な滞納者をなくすため、「一定期間滞納すると、信用情報機関に知らせる」ことを条件に貸し出しを行っていくという。通報先となる信用情報機関は、大手銀行や全国の地銀など約1400の金融機関が会員となっており、滞納情報が通報されると、対象者は加盟金融機関でローンが組めないなど、日常生活にも影響が出るだろう。

大半の奨学生は、世の中に出ても給与だけで生計が立てていける訳ではない。金融機関からのローン等も重くのしかかる中で、生活費の捻出だけで精一杯、学費返済に充てるお金がないのが現実だろう。中には、大学を無事に卒業しても、就職ができない者もいる。当然、アルバイト等で日々を凌いでいる者も数多くいるだろう。 現在の低所得者層やワーキングプアを作り出している日本の経済構造自体を再考するだけでなく、現に違法金利等で運用されていたサラ金やクレジットローン等の借金で困窮している者を救済することも大きな一助になるはずである。

本来的に、奨学金制度とは未来ある若者に就学の機会を広範かつ適切に与えていくことが根本理念だろう。しかしながら、卒業後に巣立っていく社会に明るい未来が待っていると言えるのだろうか。本腰を入れてこうした現状を変えていかなければ、日本の将来は悲観されるばかりである。

日本建設組合連合 会 長  菅 野 一 夫



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